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  4. 『ラーメン大好き小泉さん』/ラーメン信者な女子高生・小泉さんの“妥協しない勇気”

ラーメン大好き小泉さん

ラーメン信者な女子高生・小泉さんの“妥協しない勇気”

作品データ/『ラーメン大好き小泉さん』 作者:鳴見なる 『まんがライフSTORIA』連載中、既刊4巻(2016年8月現在)

人の目が気になる大澤悠と自分の道を突き進む小泉さん

 いわずと知れた国民食「ラーメン」。

 近年のラーメン業界はスタンダードなしょうゆ、みそ、塩だけではなく、横浜家系、博多豚骨系、濃厚魚介系などさまざまなジャンルに分かれ、しのぎを削っています。

 昔は女性が行きづらいイメージがあったラーメン店ですが、最近は女性でも入りやすいオシャレな内装や油分を抑えたヘルシーなラーメンを開発して女性客をつかみ、客の多くが女性なんてお店も出始めていますよね。

 とはいえ、まだまだ“男向け”のイメージが強いのは否めないところ。ラーメンは好きだけど、お店に入る勇気がないという人も多いのではないでしょうか?

 本作に登場する大澤悠もそのひとり。ショートカットで活発な風貌の女子高生ですが、まわりの目が気になってひとりでラーメン店に入れない…。

 しかし、そんな彼女の前に“ラーメン界のジャンヌ・ダルク”かのごとく登場したのが、美少女転校生の小泉さん!

 悠は小泉さんに魅せられ、ラーメンへの愛(…という名の小泉さんへの執着)に目覚めていくのでした(笑)。

 小泉さんはテストの前だろうが東北までラーメンを食べに行ったり、目的のラーメンを食べるために食事を抜いて倒れてしまったりするほどのラーメン好き。…いや、そんななまやさしい表現では足りません…いうならば“ラーメン教”の信者レベル。

 超大盛りラーメンで知られる『ラーメン二郎』では「ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ」という呪文を詠唱して顔以上の高さに盛られたラーメンを完食!

 激辛ラーメンの『蒙古タンメン中本』では辛いのが得意じゃないといいながらも“辛さレベル9”(ラスボス級)に挑み勝利するなど、彼女のラーメン愛はとどまることを知りません!

 そんな小泉さんにくっつき、ときにストーキングしながらも次第にラーメンの深みにはまっていく悠。人目もはばからずラーメンをすすり、恍惚な表情を浮かべる小泉さんを横目に見ながら悠もまたラーメンをすすり、至福を感じる。エキセントリックな関係性です、はい。

 けれど、はじめこそ人の目が気になってラーメン店に入れなかった悠ですが、小泉さんと仲良くなりたい一心で頼まれてもいない行列に小泉さんの代わりに並んだり、大阪旅行への帰り道、名古屋で小泉さんを見かけたという理由で新幹線から降りて迷い、お金がないとワンコインのラーメン店を選択したりと…普通では考えられない行動力を身につけていくのです。ラーメン≒小泉さんフェチです、はい。
      

小泉さんが教えてくれる“好きなことに妥協しない勇気”

 小泉さんから悠が学んだこと。

 それは、好きなものに妥協しないという姿勢。

 これに尽きます。

 そんなこんなで、小泉さんの教えの通りにラーメン(…とラーメンを食べる小泉さん)を愛してくのです。

 ――さて、私たちはどうでしょうか。

 好きなもの、叶えたい目標を前に妥協してはいませんか?

 人は成長していくうちに成功や失敗を経て妥協することを覚えます。

 それが悪いことだというわけではありません。妥協によって得られるものもたくさんあるでしょう。

 けれど、結果的に妥協するのと最初から妥協することを考えて物事にあたるのとでは、わけが違います。

 例えば、営業の仕事で全社トップの売り上げを達成しようとして、最終的にトップを取れなかったとします。しかし、売り上げトップを目指すために行ったリサーチや得た知識は次に生かすことができますよね。また、そのとき契約できなかったクライアントでも次は状況が変わって契約してくれるかもしれません。

 一方、最初からノルマさえ達成できればいいやと妥協して、結果的にノルマを達成できたとします。その場合、次はまた新たなクライアントを探さなければいけません。熱意だって全社トップを目標にしている人に比べれば低く見られてしまってもしょうがありませんよね。

 結果的にうまくいかず妥協してしまったとしても、それまでのプロセス=努力は自分の糧になります。

 しかし、最初から妥協して全力を出すことをやめてしまえば、その人の成長は鈍くなってしまうでしょう。

 好きなことを妥協なしに全力でやるのは辛いかもしれません。

 ですが、そうやって高い目標に向かって突き進んでいる人は魅力的に見えますよね。

 …とまぁ、たかだかラーメン食べ歩きから、話が“意識高い”方面に飛躍しました。

 が、たかがラーメン、されどラーメン。

 悠も小泉さんに対して同じような印象を持ったのではないでしょうか。確かにラーメンをひとりで、しかも男性でも完食が難しいラーメンをいとも簡単に平らげてしまう女性はまわりから見れば不思議…というか異様に映るかもしれません(笑)。

 でも、小泉さんはまわりの目を気にも留めず、大好きなラーメンを満面の笑みを浮かべて頬張るのです。

 それって、ものすごく、かっこよくないですか?

 みなさんももし行きたいお店があって、どうしてもひとりで行けないのなら、悠のように最初は友人を連れてでも構いません。ですが、行きたいのに恥ずかしいからといって我慢するのはやめましょう。

 好きなものは好きでいいんです。それを阻む権利は誰にもありません。

 魅力的な女性になるために、好きなことに妥協しない勇気を持つこと。

 本作はそんな学びを教えてくれている…………と信じて読むと、明日をポジティブに迎えられるような気がしませんか(笑)。
      

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