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静岡のトップレストラン 全国の食通がいま、
静岡を目指すワケ
Hitosara special

いまレストランシーンを最も賑わせているエリアとは!?
そう食通に聞いて真っ先に挙がるのが、
静岡ではないだろうか。天ぷら、鰻、茶懐石にフレンチ……。
いまを面白くする静岡の5つのトップレストラン。
全国の美食家がいま静岡を目指す理由がここにある。

Photographs by Jiro Otani , Mami Hashimoto /
Text by Shinji Yoshida , Natsuki Shigihara /
Design by form and craft Inc.

  • 小林圭氏のシグネチャーディッシュである『庭園風季節のサラダ』。
    40種ほどの野菜と4種のソースを下からすべて混ぜて味わう

    Maison KEI

    世界を震撼させたフランス三つ星店が
    老舗和菓子店とタッグを組んで凱旋

     フランスで、日本人シェフが初のミシュラン三つ星を獲得。そんなニュースが飛び込んできたのは2020年のこと。パリに店を構える【Restaurant KEI】と、小林圭氏の名は瞬く間に世界に広がり、同店が続く2021年にも三つ星を獲得したことで、その名声は不動のものとなった。

     2年続けて料理界を震撼させた小林圭氏、そして2021年1月、三度目となる驚きのニュースが発信された。それが、富士山の麓に開かれたこの【Maison KEI】の発表。しかもタッグを組むのは日本を代表する老舗和菓子店【とらや】だ。

     老舗和菓子店とフランス料理の邂逅。だが、話題性のための急ごしらえのプロジェクトではない。いまから遡ること10年以上前。当時パリに勤務していた虎屋18代社長・黒川光晴氏が小林圭氏と出会い、小林氏の料理に対する姿勢に感銘を受け、長い準備期間を経て、遂に開店に至った。御殿場は1978年から【とらや】の主力工場があり、縁の深い地。小林氏はそのような場所にレストランをオープンし、地域の活性化に貢献できることにやりがいを感じたという。

     ここで楽しめるのは地元・静岡産食材の発掘と、その魅力を引き出す料理。小林氏らしさを内包しながら、パリとは違う、ここだけの味が揃う。そしてそのために料理長を任されたのが、【Restaurant KEI】で小林氏の右腕として三つ星獲得の原動力となった佐藤充宜氏だ。小林氏の料理観を理解し、それを形にする実力を兼ね備える。【KEI】の名と【とらや】の看板を背負う重責だが、佐藤氏に気負いはない。「旬を伝える、わかりやすい料理。自然に囲まれたピュアな空間ならではの、ピュアな料理をつくりたい」と思いを語った。

     食通たちを驚かせた名店の逆輸入。だが本当に驚くのは、ここで料理を味わってから。小林氏の哲学、佐藤氏の思い、和菓子とフランス料理の融合。多彩な要素が絡み合ったこの店は、来る人に忘れ得ぬ体験をもたらす。

    • 一面に切られた窓から富士山を一望。この素晴らしいロケーションも魅力
    • 小林氏の料理観と自分らしさをともに表現するシェフの佐藤氏
    • パリでも評判の『ヴァシュラン』に、【とらや】の餡を合わせたデセール
    足を運ぶべき理由

    小林圭氏の料理は、フランス料理でありながら常識を飛び越える。『庭園風季節のサラダ』は、まるでビビンパのように全体を混ぜて味わう。『ヴァシュラン』もメレンゲを叩いて崩しながら混ぜて楽しむ。「ゲストの手を介して、はじめて完成する」という参加型の料理は、おいしさだけでなく楽しさも生み出す。

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