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わさ
“おいしさ“にまっすぐ向き合い
学び、探究し進化し続けるひと皿「今が一番楽しいんですよね」と、まっすぐな目で語るのは、【わさ】のシェフ・山下昌孝氏。目黒区八雲、六本木・けやき坂を経て、10月に恵比寿へ移転したばかりのモダンチャイニーズのシェフは、とにかく“好き“だと思ったものに一直線だ。その目線の先にあるものが料理であることは言わずもがな。ただ、料理の試作を重ね、研究するだけでない。様々なジャンルの料理人と交流を深め、食材や技法などの情報交換を行い、時には店へ通い中華料理以外も学ぶ。山下氏の料理に対する情熱的なエピソードは枚挙にいとまがないが、その最たるは、独立前に研鑽を積んだ岐阜【開化亭】への入店だ。店主の古田 等氏(現、新富町【Furuta】)の料理はもちろん、料理人としての姿勢にも惹かれ、ラブコールを送ること5年。その思いが実を結び、2年半、氏の背中を追いかけた。
しかと、マインドを受け継いだ山下氏の料理は、食材そのものの魅力を大切にする。例えば、兵庫県のブランド鶏・高坂鶏は、溢れ出るような鶏肉の旨みが特徴のため、味わいを包み込める餃子に使用。バランスが良くジューシーな大山どりは、よだれ鶏に使うといったように。
「古田さんは今も大好きで、自分にとって栄養剤のような存在。でも、越えたい目標でもあります」
日本が世界に誇る名店のシェフを「越えたい」と言うだけあって、常に「より良くよりおいしく」するためのアップデートが欠かせない。ゆえに、学びは止まらない。「今は、中華料理に、より興味が向いています。自家製調味料の使い方が上手い四川料理店でいろいろと教えてもらっているところ」と山下氏。料理に実直に向き合う姿勢と探究心によって、中華料理を独創的に昇華させていくだろう。継承する一流の系譜
【開化亭】時代に古田氏から受け継いだのは、技術やレシピではなく、生産者が育てた食材を大切にし、その味わいを生かしたシンプルな料理構成、そして料理に対する姿勢。それは、山下氏の考え方や思いにも大きく影響し、料理と向き合う上での核となっている。
東京のいまを熱くする
一流の系譜を継承する
レストラン
Hitosara special
哲学、技術、矜持、精神……。
一流のDNAが若き世代へと受け継がれ、新たな世界を切り開く。
いつの時代にもそうした新たな血潮がレストランシーンを面白くしてきた。
フレンチ、中華、イタリアン、薪焼き、串揚げ。
一流の系譜を継承する、東京レストランの最前線を紹介する。
Photographs by Takuya Suzuki , Jiro Otani , Shinjo Arai /
Text by Natsuki Shigihara , Koji Okano , Ayano Yoshida , Maria Kawashima , Ai Ozaki
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