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本物の新潟と出合う食体験 Eat Local NIGATA Hitosara special

急峻な山々と広大な日本海、また佐渡島も擁する新潟県。
とりわけ冬は雪ふかく、厳しい環境に置かれるが、
四季の移ろいが明瞭な大地は、多くの恵みを抱えている。
「ミシュラン」刊行で話題の新潟へ、地の味を体感しに行く。

Photographs by Shinjo Arai / Text by Koji Okano / Design by form and craft Inc.

  • 「村上産釣りアジの棒寿司と佐渡産アラのお造り」。釣りアジは信頼する村上市・岩船港の漁師・山田裕喜氏からの直送。 シャリに使う「岩船酢」は、1713年に村上で創業したメーカーのもの。きめ細かな食感のアラは、白身の味わいが濃い

    割烹 渡辺

    越後尽くしの会席料理を通して、
    四季折々のテロワールを体感

     観光地として名高い、新潟市西蒲区の岩室温泉。その玄関口として、江戸時代から栄えた巻町には、新潟新世代を語るうえで欠かせない料理人がいる。【割烹 渡辺】4代目の渡辺大生氏は、2021年3月、創業から守り続けた築90年の日本家屋から程近い場所で、店舗をリニューアル。長年の夢だった檜一枚のカウンターや広いテーブル席に加えて、2階にはオーベルジュまで設けた。
    「いちばんおいしいだけじゃなく、いちばん楽しめる場所をつくりたかったんです」
    そう言って快活に笑う渡辺氏の手元では、新潟の海と山の幸が美しい会席の皿に姿を変える。

     たとえば6月から8月にかけて、新潟の沿岸で豊漁を迎える釣りアジ。ほどよく脂がのって、なめらかに旨味も漂う肉質は浅く締めて、棒寿司にして提供する。新潟産コシヒカリに、上越・村上市で300年愛される『松田商店』の岩船酢を合わせたシャリは、ほどよい甘味を醸しつつ、口のなかで解けていく。その希少性から「幻の魚」といわれる佐渡のアラも含めて、この時期しか味わえない向付だ。

     この後、煮物、焼き物と続く16,500円の会席コースは、日替わりで全12品ほど。「器は料理の着物」という渡辺氏の美学を体現して、県内の漁師から届くノドグロやヒラメが、地元・巻や中越・十日町などの作家の器に盛られて登場する。また、酒のラインナップも地元産が中心。近くには“新潟ワインコースト”と呼ばれる醸造所の集積地があるために、【カーブドッチ】など日本ワインブームを牽引するつくり手の銘柄がメニューに並ぶ。美食と美酒で四季折々の新潟テロワールを堪能すべく、足を運びたい一軒だ。

    • 渡辺大生氏は、新潟市の日本料理店で経験を積み、24歳の若さで家業を継いだ。
    • 新店舗となった檜造りの【割烹 渡辺】。1933年に川魚専門店として開業し、巻の街で90年以上の歴史を誇る
    • 新店舗2階の客室。1泊1名8,800円(朝食付き)。
    Eat Local NIGATA

    渡辺氏は新潟市の中央卸市場を通さない、直取引にこだわる。「日本海は時化も多いので、いい魚が獲れない時もある。そんな場合は潔く諦めて、いいものだけを送ってくれる生産者さんとお付き合いしています」。新潟県村上市岩船港の山田裕喜氏は、渡辺氏が信頼する漁師のひとり。揚がったばかりの甘鯛などが直で届く。

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