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  3. 新潟の5名店を紹介!本物の新潟と出合う食体験「Eat Local NIGATA」

本物の新潟と出合う食体験 Eat Local NIGATA Hitosara special

急峻な山々と広大な日本海、また佐渡島も擁する新潟県。
とりわけ冬は雪ふかく、厳しい環境に置かれるが、
四季の移ろいが明瞭な大地は、多くの恵みを抱えている。
「ミシュラン」刊行で話題の新潟へ、地の味を体感しに行く。

Photographs by Shinjo Arai / Text by Koji Okano / Design by form and craft Inc.

  • 日本海の夏の美味、熟成させたアラはサッと煮切りを付け、にぎりで提供。
    シャリは、シャリ用に開発された米「笑みの絆」に、村上「大洋酒造」の大吟醸酒粕酢を合わせた

    兄弟寿し

    魚に加えて、シャリを炊く水も。
    すべてが新潟由来のおまかせコース

     人口約80万を誇り、本州日本海側唯一の政令指定都市である新潟市。江戸時代には大坂と蝦夷地を往来する北前船の寄港地として栄え、なかでも海側の古町エリアは花街として栄えた。今では市内を代表する繁華街に成長したものの、石畳の路地も残って、夕方には三味線の音色も響くこのエリア。その一角で50年前から営業する【兄弟寿し】が、ここ数年、東京をはじめ全国の食通の評判を呼んでいる。
    「初代の父の頃は、深夜3時まで営業する街場寿司でした」と、店主の本間龍史氏。転機となったのは、本間氏が東京・広尾の江戸前寿司店【蔵六鮨 三七味】などで約10年の修業を積み、帰郷して店を継いだ2011年のことだ。
    「将来的にはすべての食材を新潟産でまかなえるように、メニューだけでなく、シャリのレシピや魚の仕入れまで変えました」

     今は16,500円のおまかせコースのみの展開で、ネタはほぼすべて新潟産だ。

     佐渡で揚がり、今朝目と鼻の先の新潟港で受け取ったばかりのアワビは肉厚さに感動する。また隣接する聖籠町の浜で、こちらも今朝獲れたばかりの甘エビ。新潟では「南蛮エビ」とも呼ばれるが、その透き通るような身からは、天然の甘味が止めどなく溢れる。佐渡産のアラは、5日間の熟成をかけて。脂の控えめな白身は寝かすほどに旨みを湛え、芳醇な酸味を醸すシャリと重なれば、まさしく口福の一言に尽きる。またそのシャリも、妙高産の米を妙高山系の伏流水で炊くこだわりよう。締めのお茶も村上茶で、村上の酒蔵の仕込み水で淹れる。まさしく、どの部分を切り取っても新潟尽くし。本間氏の郷土への思いが、引きも切らずに溢れてくるのだ。

    • 店主の本間龍史氏。東京・新橋の【鮨処 順 烏森店】、広尾【蔵六鮨 三七味】などで修業を積んだ後に新潟に戻った
    • 晩春から夏に旬を迎える、佐渡のアワビは酒蒸しで。新潟近海の日本海は、アワビの餌になるワカメが豊富なのだとか
    • 古民家から移築した欄間など、調度からも新潟を感じられる。店名は、初代が兄と店を営んでいたことに由来する
    Eat Local NIGATA

    【兄弟寿し】の強みは、寿司ネタを新潟産で揃えられること。「南蛮エビやアラなどの地魚は、それだけでコースが組めるほど種類がありますが、新潟では鮮魚が食卓に上がる機会が多く、また取扱量も少ないので、ほとんどが県内で消費されます」という。ここでしか食べられない寿司だからこそ、全国の食通が注目しているのだ。

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