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割烹 いずみ かっぽう いずみ
ホテルダイニングの中でせめぎ合う
正統派の技と、料理人の熱意数々の有名レストランを手掛ける食の世界のトップランナー・ひらまつが、初の都市型ラグジュアリーホテルとして【THE HIRAMATSU京都】を開いたのは2020年3月のこと。ひらまつのホテル初の日本料理店となる【割烹 いずみ】には無論、海外からの賓客を想定し、正統派でハイクオリティな日本料理が求められた。そんな重責を担う料理長に抜擢されたのが、小泉壮登氏だった。宿泊者以外も迎え入れる態勢、小泉氏の名字に由来する屋号など、多くの部分で料理長の裁量に任せられていることが窺えるこの店。もちろん素材選びやメニュー考案も、氏がすべてを見る。
そう聞くと、かなりの大役と思える立場だが、実は当の本人はいたって自然体だ。「求められる京料理の枠の中でどれだけ自分の色を出せるか。お客様の反応を見ながら日々探っています」と笑う小泉氏。自身の料理は「自分は繊細さ、細やかさで勝負する料理人ではありません。一品ずつの主素材をはっきりさせる、パワーのある料理が持ち味です」と分析する。実際に、鱧、松茸、蟹といった王道の食材をどっしりと据え、香りと旨みで芯の通った味わいを立たせる料理は、食のパワーを改めて感じさせる。そして理想の日本料理を描いて来日する人はもちろん、京料理を食べ慣れた人にもなお、強いインパクトを与えてくれるのだ。名店のニューノーマル
ホテルオープンが緊急事態宣言と重なったが、秋以降は京都に人も戻りはじめ予約も増加。これからさらにゲストの反応を見極めながら料理やサービスをブラッシュアップする予定。さらにスペシャリティの商品化やおもたせの考案など、食材生産者へ還元可能なサービスも今後取り入れていくという。
京都のトップレストラン
名店の
ニュースタンダートを
追う
Hitosara special
外食産業が試行錯誤を繰り返し、新たなレストランのあり方を模索する昨今。
京都のトップを走る料理店、レストランは、いまどうなっているのか?
これからのニュースタンダードになるであろう、京都の5名店を追った。
Photographs by Toshihiko Takenaka , Kunihiro Fukumori , Shuhei Sakai /
Text by Natsuki Shigihara / Design by form and craft Inc.
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