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京都のトップレストラン 名店の
ニュースタンダートを
追う
Hitosara special

外食産業が試行錯誤を繰り返し、新たなレストランのあり方を模索する昨今。
京都のトップを走る料理店、レストランは、いまどうなっているのか?
これからのニュースタンダードになるであろう、京都の5名店を追った。

Photographs by Toshihiko Takenaka , Kunihiro Fukumori , Shuhei Sakai /
Text by Natsuki Shigihara / Design by form and craft Inc.

  • 京町家の趣を残したラグジュアリーホテルとして生まれた【THE HIRAMATSU京都】

    割烹 いずみ かっぽう いずみ

    ホテルダイニングの中でせめぎ合う
    正統派の技と、料理人の熱意

     数々の有名レストランを手掛ける食の世界のトップランナー・ひらまつが、初の都市型ラグジュアリーホテルとして【THE HIRAMATSU京都】を開いたのは2020年3月のこと。ひらまつのホテル初の日本料理店となる【割烹 いずみ】には無論、海外からの賓客を想定し、正統派でハイクオリティな日本料理が求められた。そんな重責を担う料理長に抜擢されたのが、小泉壮登氏だった。宿泊者以外も迎え入れる態勢、小泉氏の名字に由来する屋号など、多くの部分で料理長の裁量に任せられていることが窺えるこの店。もちろん素材選びやメニュー考案も、氏がすべてを見る。
     そう聞くと、かなりの大役と思える立場だが、実は当の本人はいたって自然体だ。「求められる京料理の枠の中でどれだけ自分の色を出せるか。お客様の反応を見ながら日々探っています」と笑う小泉氏。自身の料理は「自分は繊細さ、細やかさで勝負する料理人ではありません。一品ずつの主素材をはっきりさせる、パワーのある料理が持ち味です」と分析する。実際に、鱧、松茸、蟹といった王道の食材をどっしりと据え、香りと旨みで芯の通った味わいを立たせる料理は、食のパワーを改めて感じさせる。そして理想の日本料理を描いて来日する人はもちろん、京料理を食べ慣れた人にもなお、強いインパクトを与えてくれるのだ。

    • 小泉料理長は40歳。積んできた数々の経験を糧に、ホテルという舞台で次の一歩を踏み出す
    • コースの導入となる先付けも、大胆で力強い味わい。この日はカマスに生姜餅、すっぽんのだしを合わせた
    • 締めの食事に合わせて、炊いた牛肉、いくら、ちりめんなどが並ぶ。酒のアテにもなる逸品揃い
    • 「ホテルであるからには、居心地が最重要」というカウンター席。中庭を望む開放的な雰囲気
    名店のニューノーマル

    ホテルオープンが緊急事態宣言と重なったが、秋以降は京都に人も戻りはじめ予約も増加。これからさらにゲストの反応を見極めながら料理やサービスをブラッシュアップする予定。さらにスペシャリティの商品化やおもたせの考案など、食材生産者へ還元可能なサービスも今後取り入れていくという。

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