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新しいレストランの形がここに! 名店のニューノーマル Hitosara special

外食のあり方が問われるなか、多くのレストランがいま、試行錯誤をしている。
どんな状況下でも、リスクを減らし、食べに来てくれる人をもてなし、
最高の料理で幸せを感じてもらおうとできる限りの対策を施し、営業をするレストランがある。
これからのレストランのスタンダードになるであろう、ニューノーマルな5つの名店を紹介する。

Photographs by Takuya Suzuki , Jiro Otani , Noriko Yoneyama , Shinjo Arai
Text by Natsuki Shigihara , Itaru Tashiro , Ayano Yoshida , Maria Kawashima
Design by form and craft Inc.

  • アメリケーヌソースを敷き、金目鯛を包んだ焼き立てのたい焼きをのせる「金目鯛のたい焼き」。サクサクの食感がポイント。
    食文化を残したいという思いから、フレンチの伝統料理・スズキのパイ包み焼きを日本人が親しみやすい見た目にアレンジ

    Sincère シンシア

    伝統を残し、食の未来を守る
    楽しく、おいしく、最高の一皿を

     「大切にしているのは、キャッチーに食文化を残すこと」
     【Sincère】のシェフ・石井真介氏のそんな思いを象徴しているのが、看板料理の『金目鯛のたい焼き』だ。クラシックなフランス料理である「ルーアンクルート(魚のパイ包み焼き)」を日本の人々に肩肘張らずに楽しみながら食べてほしい。そんな思いから、石井氏がアレンジを加えた一品。愛らしい見た目でありながら、「ルーアンクルート」のサクサクのパイ生地で白身魚を包む調理法はそのまま踏襲していて、味はしっかりとフレンチに着地する。中にはぎっしりと魚の白身が詰まっており、皿に敷かれたアメリケーヌソースをつけて食べれば、白身魚のさっぱりとした味わいとソースの濃厚な風味が重なり合い、本格フレンチの風格を感じさせる。都内の名店【オテル・ドゥ・ミクニ】や【ラ・ブランシュ】をはじめ、フランスで本場の二ツ星、三ツ星レストランを経験した石井シェフだからこそできる、伝統と技術に裏打ちされた遊び心の詰まったメニューだ。
     そして、食文化の継承と同時に石井氏が力を入れているのが、水産資源や海洋環境への取り組みだ。持続可能な形で水産物を捕獲し、食卓に運ぶにはどうしたらいいか。『魚介のカクテル』は、こうした環境への配慮を食べ手に伝える料理だ。餌に添加物を使わない育て方をしていて環境への負担が少なく、捕獲しても資源が枯渇しにくいホタテ貝。チョウザメを殺さず卵を採取することで生態系に配慮したキャビア。そうした、海洋生物や環境を極力傷つけず、生命の循環を邪魔せずに入手できる食材を使い、見た目の美しさも実現した。スプーンですくって一口食べれば、毛蟹のムースに詰まっただしと、蟹のほぐしみからは湧き立つ魚介の旨みが口の中いっぱいに広がっていく。同時に、なめらかな味わいのカリフラワーのソースが口の中で一体となる。グラスの周りにはサンゴや貝をあしらうことで、海の中の風景を表現。環境に配慮するだけでなく、お客様が視覚的にも楽しむための工夫も忘れない。
     提供される一皿ごとに、食の歴史と未来の両方を見据えた石井氏の思いと試行錯誤が詰まっているのだ。

    • 「お客様には会話を楽しみながら食事をしてほしい。自分の料理が、コミュニケーションの引き立て役となるのを願っている」と石井氏
    • 前菜の『ブーダン・ノワールの小さな朝食』。薄くスライスしたブリオッシュに濃厚な味わいのブーダン・ノワールとウズラの卵を乗せる
    • 毛蟹の旨みがつまったムースなどを重ね、ホタテとキャビアをトッピングした『魚介のカクテル』。海の中をイメージした盛り付け
    • ワインはフランスをメインに日本やニューワールドなど100種以上を揃え、主にペアリングで提供。魚料理に合う日本酒も種類豊富
    名店のニューノーマル

    予約組数・総人数を制限し、席間を通常以上に確保。つかい捨てタイプの抗ウイルスおしぼりとアルコールスプレーをテーブルごとに置き、化粧室には非接触タイプのハンドソープ及びアルコールスプレーを設置。スタッフの手洗いうがいの徹底、及び出勤前の検温を徹底。体調不良の場合は、現在は当日でもキャンセル料なしでキャンセルを受けている。

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