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新たな時代を生き抜く店はここ! 東京、いま注目の
新レストラン
Hitosara special

元号が変わり、まもなく一年が経とうとしている。
その間、どれほど多くのレストランが産声をあげてきただろう。
グルメバブルともいわれる群雄割拠の時代を生き残り、
令和という時代で愛され続ける店はどこか。
注目のフレンチから鮨、フュージョンまで、いま注目すべき店を取材した。

Photographs by Takuya Suzuki , Noriko Yoneyama , Shinjo Arai / Text by Itaru Tashiro , Ai Ozaki , Maria Kawashima
Design by form and craft Inc.

  • 『33vegetable(改)』は、ダイコンやニンジンなどの野菜を33種使ったマリネ。いわばガルグイユのマリネ版といったところか。
    提供時のマジックのようなプレゼンテーションも楽しいスペシャリテ

    Sanmi サンミ

    新たな食体験を創造する
    酸味を主軸にしたモダンフレンチ

     クラウドファンディングで飲食業界における最高額を集めオープンした、会員制レストラン【sanmi】が、2020年1月に移転。虎の門ヒルズ内のエントランスに店を構え、一般にも席を開放した。「元々、会員制は1年ほどの予定だった。その後は色々な選択肢がありましたが、自分たちがやってきたことを明るみに出してみたい、という思いから今の形になりました」とシェフの玉水正人氏は話す。
     玉水氏が言う「やってきたこと」とは、移転前から一貫し“sanmi”を表現してきたことだ。その軸になるのが、ビネガーや発酵、柑橘などによる酸味。そう聞けば「=すっぱい」というイメージを持つが、酸味の持つ性質はそれだけではなく、刺激や爽やかさなど様々な表情を見せる。そんな酸味の可能性を引き出しながら、旨み、塩味を加えた三味が三位一体になることでおいしさを表現。例えば、スペシャリテの『33vegetable(改)』は野菜のマリネだが、昆布などの出汁をかけ、旨みを重ねて仕上げている。
     また、料理とドリンクが口の中で合わさることで生まれる3つ目の味も”sanmi”としてとらえ、ペアリングを重視。オーナーの野口良介氏が酸味に注目するきっかけとなった、ワイン樽で熟成しつくられたスイスのビール『ボンシェン』は『オムライス』と合わせており、おいしさはもちろん、組み合わせの意外性も魅力だ。ペアリングはコースに合わせたアルコールやノンアルコールのセットで用意。
     なかでも面白いのが、ミネラルウォーターのペアリングだ。硬度などで変化する水の風味が、料理それぞれに絶妙に寄り添い、新たな味覚に出会える。そんな、今までにない味わいの感覚、初めての食の体験こそが【sanmi】がこれまでに表現し、これからも目指し続けるものなのだ。

    • 「鹿〜」は、玉水氏の故郷・三重県美杉村の罠で捕獲したジビエを使用。ハトのサルミソース、イカの塩辛のピューレでいただく
    • シェフのひとり、玉水正人氏。フランスの二ツ星で修業し、「香り」に重点をおいた料理構成を得意とする。商品開発も手がけている
    • 植物によって区切られたビルのエントランスに位置するが、【sanmi】の空間は非日常的な趣き。落ち着いて食事に向き合える

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