ハワイ産の食材にフレンチの技法を纏わせる
2018年秋、ハワイでグルメシーンの話題をさらったのが【PARIS.HAWAII】だろう。エグゼクティブ・シェフを務めるのはパリの名門ビストロでスーシェフを任されていた山中祐哉氏。ハワイ産の食材を使い、フレンチの技術を組み合わせることで、シンプルながら独創的な料理へと昇華させる、同店でしか食べることのできないアイランド・フレンチというジャンルを確立した。リージョナルキュイジーヌの枠に収まらない、山中氏にしか作り出せない味は、すぐに話題となった。
料理は2〜3ヶ月ごとに変わるが、メニューは基本的に8品からなるコースのみ。デザートだけアラカルトで選べるようになっている。食材はハワイ各地を巡って選んだ品々。例えばコースの冒頭で出てくる『カブのスープ』に用いるオーガニックのカブはオアフ島にあるOtsuji
Farmで育てられたもの、『ガーリック・シュリンプ』に使用するエビはカウアイ島で採れるカウアイ・シュリンプ、シグネチャーの『パリ・ポケ』にはハワイ近海マグロのポケをハワイ島の牛肉を使ったビーフタルタルと合わせているなど、ひと皿出てくるごとに説明を聞くのが楽しくなる。各島の名産品を積極的に取り入れているため、自ずとハワイの食材に詳しくなれるというわけだ。料理を通じて、ハワイを知って欲しい、観光の一部のように利用してくれたら嬉しいとシェフは言う。
食事と合わせたいドリンクは、ペアリングをぜひ。ナチュラルワインかケンゾー・エステートのワインのペアリング、ノンアルコールではお茶のペアリングが用意されており、いずれも山中氏によるセレクトだ。食事の前後に利用できるバーコーナーのクラフトカクテルも見逃せない。
同店は、1937年に建てられた歴史的建造物をリノベーションしており、一歩足を踏み入れれば、ここがハワイであることを忘れてしまいそうな洗練された空間。次のハワイで特別な日のディナーを予約したいならば、この店は欠かせない存在だ。